明るすぎる日本の夜に

暗闇の効用

昨日は残念ながら横浜の夜空には雲がかかり、星空を見ることができませんでした。ただ、晴れても天の川をのぞむことはできません。日本の夜空は星を見るには明るすぎるのです。

【出典 NASA衛星写真】

今や天の川を見られる地域は限られるようになりました。昔は当たり前に見えたものが見えなくなるとそこに価値が生まれるようで、星空ツアーが人気です。夜空に広がる満天の星を見たいという気持ちは誰にでもあるのではないでしょうか。

昔は夜が暗いということは貧しさや、治安の悪さを象徴するものでした。戦時中、灯火管制をしかられた日本人にとって、明るい夜というのは復興と豊かさの証であり、ナショナルの蛍光灯に照らされた明るい室内こそが、昭和の一家団欒の場でした。

今はお洒落なリビングでは間接照明が当たり前になり、適度な暗さの価値を多くの日本人が知っています。街中の照明も、治安を担保しながら適度に暗いというのが今時のトレンドではないでしょうか。

明るすぎる夜というのは人にとってはストレスになるようで、暗闇を使ったセラピーやセミナーも注目されています。暗闇によって視覚以外の五感が呼び戻され、自律神経が安定して、ストレスから解放される効果があるようです。

長野の善光寺には有名な「戒壇巡り」なるものがあり、塩おやじも一度体験したことがあります。地下に続く暗闇の回廊を手探りで進み、最後にご本尊の秘仏を拝むことができるものですが、本当に一寸先も見えない真っ暗闇を前に進むのは不思議な感覚でした。この暗闇を抜けると体の力がスッとぬけたような気持ちのよい開放感を味わえます。

闇から見える本当の光は・・

「夜の闇が深いほど、光の有り難さを知る」というのは人生の苦難をのりこえた場合によく使われる表現ですが、確かに明るすぎる世界に居続ける、恵まれすぎた境遇は、僅かな光を感知する感性を鈍らせると思いますし、同じ物を味わっても暗闇を知る人と、光にさらされ続けた人ではその感じ方も違うではずです。

光ある昼時は活動的に働き、遊び。夜は深い闇の中で心身を癒すというのが本来の人間らしい暮らしをしたいと思います。できれは夜には満天の星空を眺めるような・・・。実際は、夜もパソコンモニターの明るい光を浴び続けているので、コレは見えないストレスの蓄積のはずです。せめて、夜は余計な画面は見ないように気をつけるようにいたします。

物事の決断においても、明るさに踊らされることなく、深く目を閉じ、闇の中で五感を研ぎすますかのような姿勢が大切だと思います。もうすぐ、これからの国の行方を左右する選挙です。明るすぎる日本の夜に目くらましにあわないよう、気をつけなくてはなりません。