コレクション: 仕入れ日誌(前編)

2016年の3月から4月にかけてクリスタル岩塩の原産地として有名なパキスタンに行ってまいりました。
ここのところ食品加工の原料に使いたいというご要望が多くなり、これに応えるためにパキスタンの生産環境を改善しようという狙いがありました。
今回はその報告の前編です。

パキスタンでの課題

工場を見ていろいろな課題を発見し、ひとつひとつを丁寧にクリアしていけば良いことがわかりましたが、ひとつ驚いたのは、機械をメンテナンスする際に使う布が柄物ばかりということでした。
これでは汚れをちゃんとふき取ったかが良くわからないので、白いタオルはないのかと探したのですが、どこに行ってもありません。
結局この日は白い大きなバスタオルを購入して、それをカットすることにしました。


篩を修理しているところ

他にも暑さ・湿気対策とやらなくてはいけないことが満載なのですが、パキスタンと日本の基準はかなり違うので、「ここまでやらないと日本人は納得しないよ!」というポイントをややオーバーアクションで伝えました。
はじめは戸惑っていた現地の工員ですが、共に重いものを運んだり、機械の汚れを落とすうちに打ち解ける雰囲気もでてきて、「あれとって!」と日本語で話しても通じるようになります。

理想までの道のり

応急処置を加えながら問題点を洗い出し、今日はここがベストだろうというところまで追い込んで整備してから、テスト粉砕を行いました。
そうするときれいなクリスタル岩塩が気持ちよく粉砕されて出てきます。

「これだよ!これ!」
工員たちも出来上がる塩のクオリティーにいつもと違う感触を感じているのがわかりました。
「今までで一番ですね。」と友人も声をかけてくれます。
一気に問題解決かと思われたのですが、残念ながら主力のパウダーに完全ではない点が見受けられ、やや落胆。夕暮れが沈むころ、次回の改善点を確認してテストを終えました。

現地でのトラブル

パキスタン滞在最終日に工具や材料の調達をするために「工具街」へ出かけました。
小さな工具の専門店や、板金屋、機械工作屋が軒を並べ、さながらスターウォーズにでてくるロボットや宇宙船のジャンク品を売る村のようです。
人も車もロバも忙しそうにかけづって、暗い掘っ立て小屋のような機械工作屋では鉛筆をなめながら得体のしれない大型工作をする男たちがいます。
いるだけでエネルギーがとられるような場所であり、悪いタイミングでトイレにも行きたくなって落ち着きません。結局、近所のモスクのトイレをお借りしてことなきを得ました。
工具一個を買うのにもとてもエネルギーを使うのがパキスタンです。


パキスタンの機械工作屋、私(日本人)が付いていったことで一気に交渉金額が上がってしまった!

そしてテスト2回目、現時点での方策は固まったように見えました。
完璧な成果には届かずともとは、ベストは尽くした数日間、あとは成田行きの飛行機に乗るだけ、成田空港に着いたらまずビールが飲みたいなあなどと考えておりましたが…そうは問屋がおろさないのがパキスタンです。
詳細は省きますが、なんと飛行機に乗ることができなかったのです。日本での暮らしでは信じられないことが起こるのがパキスタンです。
それを、まいっか!と受け流すこともしないと、なかなかパキスタンとのお付き合いは大変です。