8月30日のブログで海水浴はもとは「塩湯治」と呼ばれたという記事を書いたのをきかっけに、もう少し本家の「湯治」について知りたくなり良さそうな書籍を購入してみた。
温泉教授の湯治力 ~日本人が育んできた驚異の健康法~ 著者・松田忠徳
湯治の歴史から全国の湯治場情報までよくまとめられた良書だ。
いろいろと面白い発見があったのだが、
昭和10年代頃まで、日本の「温泉医学」の基礎研究は世界のトップレベルにあり、戦後10年くらいまでは各地に国立大学の附属病院として温泉研究所があったというのには驚いた。
温泉病院とよばれていたらしい。
残念なことにこの頃研究されていたデータが現在の医療現場で活かされているということはなく、温泉病院は西洋医学の席巻とともに廃れてしまった。
勿体ない話だ。「温泉医学」という分野をもう一度研究しなおせば、日本は世界の湯治場になって、世界の人々を癒し、過疎化が進む地方の活性化にもつながるのではないか、と夢想する。
ドイツでは「温泉療法」は医療行為として認められていて、国の保険認定がされているし、中国でも温泉医療の研究は進んでおり、各地に東洋医療と結びついた温泉施設が増えているらしい。
今の日本では、国が介入するとおかしなことになってしまうという危惧もあるが、温泉地を観光地としてだけでなく、国民の健康維持の場としてとらえなおすのは良いと思う。地物の良い食材で食養しつつ、温泉にゆっくりと浸かって体とココロを癒すのだ。いいではないか、国の医療費負担は減る、地方税収は増える。
生き方に迷い、引きこもる若者がいれば、まずは湯治をさせて体を回復させる、回復したら、少しその地のために体を使って働いてもらう。それで湯治分の代金はチャラ。抗うつ剤で薬漬けにされるより、よっぽどいい。薬に漬けるより、湯に浸かれだ。
会社にしても温泉に浸かりながら、仕事をする企業があってもいい。
源気商會も、目指すはそういう働き方だ。歩いていけるところに温泉がある。会議は風呂でやる。いいアイデアが生まれそうだ。