下痢止めと抗菌剤の弊害

5年前に起こった焼肉店での集団食中毒事件

昨日、テレビで5年前に起こった焼肉店での集団食中毒の再現ドラマがあり、視聴しました。この事件による犠牲者が5名もいたことを改めて知り、食中毒の怖さを再認識しました。

犠牲者と犠牲者のご家族の心中を察すると、悔しくてたまらない怒り、無念があったはずです。心よりお悔やみを申し上げたい。

その再現ドラマには、被害者のお父上が出演されており、この事件を風化させてはならないという思いを感じました。

食中毒の原因となったのはO157やO111と同種の腸管出血性大腸菌(ベロ毒素性大腸菌)と呼ばれるものです。ベロ毒素は大腸はただれさせ、血管壁を破壊して出血を引き起こします。さらに腎臓に障害を与え、脳や神経にも作用して発病してから短時間で命を奪うこともあります。

腸管出血性大腸菌O157 【国立感染症研究所】

 

再現ビデオによると焼肉店で家族4名が食事をし、ユッケを食した3名が発病、うち重篤だった息子さんが亡くなってしまうのですが、食後には異常はなく、翌日から少しづつ倦怠感や嘔吐、下痢という症状が出始めました。病院でも検査をし、「盲腸」「風邪による消化不良」が疑われましたが、食中毒という診察はされなかったようです。

 

その初期に市販の整腸剤(下痢止め)を服用したことで、かえって毒素が体内に留まることになってしまったという解説があり、初期段階で毒素を体外へできるだけ排出していたならば、と感じずにはいられませんでした。

 

下痢止めと抗菌剤

ここからは一般的な下痢についての話にかわりますが、下痢や嘔吐は体内にある余分なものを体自身が拒んで外に出そうとしているものだと思われ、これを薬で止めることにどのような意味があるのでしょうか。

 

日常生活や仕事に支障が出る場合、やむをえずに下痢止めを服用することもあるとは思いますが、これは体に負担を与える行為だと認識しておくべきでしょう。

 

下痢で怖いのは脱水症状です。体内に蓄えられた水が余分なものを排出するために使われてしまうから。だから、下痢の歳には白湯などに天然塩をいれて、塩水補給をすることが肝心です。(病院では生理用食塩水が点滴されます)体内に入った塩水は腸内を洗いながす作用もあり、ウィルスなどを体外におしだしてくれます。

 

塩水での腸内洗浄がもう少し一般的知識として広がれば、家庭での下痢への対応も変わったものになるのではと思っています。

 

因みに、出血性大腸菌のよる食中毒に対する決定的治療法というものは現在なく、「抗菌剤」を服用するくらいしか手がないようなのですが、この抗菌剤は毒性のものと一緒に必要な腸内細菌をも破壊してしまうため、かえって症状を悪化させるのではないか、という見方もあります。

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