塩で整える健康
人間が感じる味には、旨味、苦味、酸味、甘味、そして塩味があります。
私たちは様々な食材からそれらの味覚を感じ取り、体の中に取り入れています。
- 旨味:グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸など
- 苦味:アルカロイド、フラボノイド、グリコシドなど
- 酸味:クエン酸、レモン酸、乳酸などの酸類
- 甘味:ブドウ糖、果糖、多糖などの糖類
対して塩味は、塩化ナトリウム──つまり「塩」だけが本来の塩味を生み出します。
塩化カリウムや塩化カルシウムなど、似た味を持つ物質もありますが、それらはあくまで疑似的なもの。
これは、塩が生命にとって最も重要な物質であるため、私たちの味覚が「わかりやすく、見つけやすい」ように設計されているからです。
塩味の美味しいストライクゾーンは狭い
塩味は、他の味覚と比べて「美味しい」と感じるゾーンが非常に狭く、うまい・まずいがはっきりと分かれる調味料です。
これは、体にとって必要な塩分と不必要な塩分を見分ける能力が人間に本来備わっているから。
特に味覚が無垢な子供時代はこの能力が鋭敏ですが、添加物を多く含む混合調味料に慣れてしまうと、この感覚が鈍ってしまいます。
その結果、知らず知らずのうちに過剰な塩分を摂取し、高血圧などの不調を招くことになります。
高血圧対策としての塩分コントロール法
塩分摂取量をグラム単位で制限する考え方は理論的には正しいですが、外食や惣菜を多く食べる人にとっては現実的に難しく、大きなストレスにもなります。
そこでおすすめなのが、調味料をできるだけシンプルに「塩だけ」にすること。
あるいは、塩と天然の味覚(旨味・苦味・甘味・酸味)を組み合わせる方法です。
- 塩とレモン
- 塩と糀
- 塩と黒糖
- 塩と酢
- 塩と天然出汁
こうした食事をしっかり味わい、「美味しい」と感じる塩分は体に必要なもの。
「しょっぱい」と感じたら、それ以上は体が求めていないサインとして箸を置く──そんな感覚を大切にしましょう。
このようにすれば、塩の収支決算が見えやすくなり、血圧のコントロールにもつながります。
添加物を含んだ調味料は、塩の収支を「粉飾」しやすいものと考えるとよいでしょう。
美味しい塩は、健康の味方
日々の食事を美味しくいただきながら、体を健康に保つ──そのために「美味しい塩」はとても心強い味方です。