14世紀のヨーロッパにおいて、全人口の半分を死に追いやったのがペストです。その死者数は7500万人とも言われ、人類の歴史の中で最も猛威をふるった感染症でした。
猖獗を極めたヨーロッパにおいて、ペストの影響を受けなかった小さな漁村があり、フランス領、スペイン国境近くにあるコリウールというこの村では、アンチョビ漁が盛んに行われていました。
【現在のコリウール】
ここで捕れるアンチョビは、大西洋でとれるものよりも小型で脂肪が少なく味が良かったため、コリウールの塩漬けアンチョビーは世界一とも言われていました。
村全体がこの作業に関わっており、男たちが穫ってきたアンチョビを塩につけて1ヶ月おき、その後、女性たちが頭と腸を取り除いて3枚におろし、塩と魚が交互になるように樽に詰めました。
その作業には大量の塩の備蓄が必要であり、この塩が村人をペストから救ったというのが有力な説です。
コリウール村ではペストは流行りませんでした。塩が村全体の抵抗力をあげていたからと考えられます。
最近、減塩を疑う識者や医師の書籍が注目され、少しづつ「適塩」の重要性に気づく人が増えていることを感じます。
中世ヨーロッパのペストにも打ち勝った「塩」は、現代人の抵抗力を増すためにも必要なはずです。