塩の役割
塩の摂りすぎは高血圧に原因になるとして、減塩を意識されている方がまだまだ多いのが実情ですが、塩は適量を適切にとる「適塩(てきえん)」こそが、健康を維持するためには大事です。何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、良い塩梅に、バランス重視でいくのが良く、減塩はオススメできません。
塩が不足するとどんな症状がでてくるかを見ていきましょう。
1・新陳代謝の衰え
2・心臓の機能低下
3・腎臓の機能低下
4・食欲、性欲の減退
5・筋肉疲労、けいれん
6・皮膚のかさつき
7・骨粗しょう症
8・消化不良
9・栄養不足
あげればキリがありません。野生動物は塩を求めて、塩場に集まります。遊牧民たちは丈夫な羊を育てるために塩を与えます。塩が与えられない羊は毛並みも悪く、骨ももろくなってしまうからです。塩気が不足すると、元気がなく暗いオーラが漂い始めます。江戸時代には、気骨があって反抗心の強い牢人には塩抜きの食事を与える「塩抜きの刑」がありました。これをやられると骨抜きにされた、しおらしく、従順な罪人が誕生します。現代もその構造は同じであり、減塩キャンペーンの裏側にある事情を推察する必要がありそうです。
塩には次のような役割と働きがあります。
1・体液の浸透圧の維持
人体を構成する要素は水が約60~66%を締め、その体液は、細胞外液と細胞内液にわかれています。細胞外液にナトリウムイオンが、細胞内液にはカリウムイオンが多く存在しており、このバランスをとる機能(ナトリウム・カリウムポンプ)が働くことによって体液の浸透圧が維持され、細胞は破裂したり縮んだりすることなくその形状を維持しています。
2・アルカリ性の維持
塩は血液を弱アルカリ性に維持しています。この値はph7.4を中心に非常に狭い範囲に限定されていて、この範囲をはみ出ると痙攣や昏睡症状が現れます。
3・神経刺激を伝達する
刺激を伝達する神経細胞の細胞膜をナトリウムイオンが入る時に活性電位が発生して電流が流れ、刺激を伝えます。イオンナトリウムがないとバグが生じて、筋肉のけいれんを起こし、頭の回転が鈍くなり、痴呆症への要因ともなります。
4・栄養吸収を助ける
炭水化物は消化液によりブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸になって、栄養として腸の粘着膜から吸収されますが、その際にナトリウムイオンとの結合がないと吸収自体がされません。栄養を体内に取り入れるためにも塩は必要不可欠なのです。
このほかにも塩は血圧を維持し、体温をあげ、筋肉を引き締め、骨や爪の原料となります。
塩は元気の源。そう言い切って良いものなのです。決して減らしてよいものではありません。