「食塩(精製塩)と天然塩の違いとは?」

「食塩(精製塩)と天然塩の違いとは?」

古来から、日本では海岸での製塩が行われてきましたが、高温多湿で雨量も多いために、天日で海水を蒸発させてつくる天日塩はほとんどなく、釜で煮詰める釜焚きの塩が主流でした。

その生産量は十分とはいえず、山間部では常に塩不足に悩まされていました。

1905年(明治38年)政府が塩の専売制の実施をした背景には塩不足と、日露戦争の戦費調達という事情がありました。

その後、第2次大戦を経た昭和の高度成長期、化学工業のための塩化ナトリウム(精製塩)の増産を推し進めました。

食用とすることに不安をもつ消費者からは「化学塩」とか「工業塩」と呼ばれるようになりました・・

 1997年まで日本の塩販売は専売制がひかれ、「食塩」という名称の塩化ナトリウム・精製塩以外の販売を認められていませんでした。

時を同じくして、現代病やアレルギー疾患が増加したことにより、精製塩は健康にとっては良くないという認識が広がりました。

昭和の時代、大量生産された精製塩は化学工業の発展には貢献し、安い調味料として国民の台所を支えたのですが、いつの間にか悪者になってしまいました。

高度成長期の日本人の平均年齢が若く、汗を流して働くことが当たり前の時代でしたので、今の日本人よりは排出力には優れていたと推測されます。刺激の強い精製塩でもそれを体外にだす体力はあったのではないか?

今や日本人の多くは年をとり、汗をかく機会も減ってしまった。体から排出しづらい精製塩はますます扱いづらいものになってしまいました。

 食用としての機能が十分に証明されていないものを、食用としてしまったつけが回ってきてしまったのです。

精製塩はそれまでの塩と比べると価格は10分の1以上であり、サラサラとした純白の物質は使いやすくスマートなものでした。

 味はイマイチ、何か足りないのだけど、安くて手に入りやすいから、塩といえば精製塩という時代があったとは、今となっては驚くべきことです。


ちなみに「精製塩」は商品名でもあって、正しくは「精製された塩」と呼ぶべきものですが、精製塩という言葉が広く一般に使われているため、このブログでは精製塩と表記しています。

精製塩の特徴は含まれるミネラル分がほぼ100%塩化ナトリウムであり、自然塩に含まれるマグネシウム、カリウムといった他のミネラルがほとんど含まれていません。

体外に排出がしずらく、体の中に滞留してしまうことで関節に石灰化してたまり、痛みの原因になるという説もあります。

対して、自然塩、天然塩はそれぞれそのお塩のミネラルバランスに違いがありますが、塩化ナトリウム以外のミネラルを含むお塩になります。

塩化ナトリウム割合のベストバランスについては諸説があって、ひとつに決め切ることは難しいですが、どのような海域で、どのような工程で製塩されたかを意識すると、塩選びが楽しくなります。

成分数値はひとつの目安にすべきものではありますが、それだけで美味しいお塩を見極めるのは難しいので、お塩のバックグランドを理解したうえでいろいろなお塩を使ってみることをお勧めします。

数値よりも大事なのは、体に入った時の感覚ではないかと思っています。
よいお塩には、体にスムーズにはいっていく感覚を感じます。

お塩を選ぶ判断基準としては・・

 第1に美味しいのか

 第2に日常使いをするコスト感があっているのか

 第3に製造方法、製造者、販売者などの情報開示がしっかりされているか

 第4に使用者の確かな口コミやレビューがあるのか

 

このあたりで判断をしていけばよいと思います。

 

自分が気に入った数種類のお塩をブレンドして使うというのもおすすめです。

自分の感性と舌を信じて、「推し塩」を探してみてください。

 

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