大切なのは適塩④~高血圧と食塩は関係ない!?~

大切なのは適塩④~高血圧と食塩は関係ない!?~

さて、前回はあまりの猛暑に急遽「熱中症予防」についてお伝えしましたが、今回は本筋に話を戻して、「実は半数以上の人が塩分摂取量が血圧の上がり下がりに関係ない」というお話をご紹介したいと思います。


1995年に東京大学医学部の藤田敏郎教授が行った研究発表によると、実は人間は体質的に「塩の摂取が血圧の上昇に関与するタイプ」の人と、「塩の摂取が血圧の上昇に関係ない人」に分かれることが判明しました。

関係あるタイプの人を「食塩感受性」、関係ないタイプの人を「食塩非感受性」と呼びます。

人種による違いはあると思いますが、少なくとも日本人においては、50%は「食塩非感受性」で、20%が「食塩感受性」、残り30%は「様々な要因が絡み合って血圧があがるタイプ」だそうです。


さらに2011年には同教授から新たな研究発表があり、どうして高血圧になるのかというメカニズムが解明されました。

「食塩感受性」の人は、腎臓でのナトリウム排出機能に障害が生じやすく、塩分を過剰に摂取すると腎臓の交感神経の活動が促進され、塩分の排出を担う遺伝子の働きが抑制されてしまい、結果として血液中のナトリウム濃度が上昇します。

ナトリウムは水分と結びつきやすいため血液量が増える=血圧が上昇するというわけです。

一方「食塩非感受性」の人が高血圧になる場合は、タンパク質の一種であるアンジオテンシンIIが血管中にとりこまれ、その作用によって血管の収縮が生じ、その結果、高血圧になります。

そのため、最も新しい高血圧の薬は塩分をブロックする構成ではなくなっているそうです。


自分がどちらの体質なのかを知るための検査は可能ではあるのですが、できる病院は限られており、普及していません。

塩分を多く摂取したあとの自分の体調の変化を気にかけておくとよいでしょう。


もちろん、食塩感受性の人にも塩は必要です。

減塩ではなく、適切な質の塩を適量摂る「適塩」生活を意識することで、「塩は悪者」ではなく「塩は味方」の生活を送ることができるでしょう。
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