塩にまつわるトンデモ説あれこれ

最近、YouTubeなどで「○○の塩は硫酸塩が含まれているから危険だから食べないほうがいい。△△の塩なら安心!」という趣旨の動画が注目を集めているようです。
根拠となるような論文が見つからなかったため、実際のところどうなのだろうかと医師の先生や研究者の方にお話を聞いてみたところ、要約すると「硫酸塩が硫酸還元菌によって硫化水素を出すということは本当だけれど、生体利用率も考えると、塩に含まれる程度の超微量の硫酸塩を長期摂取したからと言って、なにか体内に悪影響が起ることは考えにくい」とのことでした。

こういった類いのトンデモ説は実はたくさんあって、たとえば「天日塩が釜炊き塩(煎ごう塩)や岩塩よりも優れている」という話。
これにも科学的・医学的根拠は一切存在していませんし、天日塩だから身体に吸収されやすく、岩塩や釜炊き塩(煎ごう塩)は吸収されにくいということもありません。
あっても、岩塩は結晶が硬いので一般的な海水塩に比べるとほんの少し溶けにくい、という程度です。

似たような話では、「煎ごう塩は天日塩に比べると火を通すのでミネラルが喪失される」という話。これも、科学的な根拠がありません。
多分、食べ物に含まれるミネラル(例えば野菜に含まれるカリウム)などが、調理によって減ることから来ていると思うのですが、これは調理によって食べ物の中の外に排出される水分とともにミネラルも一緒に出て行っているという話であって、消えてなくなったわけではないので、海水が原料となって結晶化している塩には当てはまらないわけです。(塩の結晶に入り切らないにがりのミネラル分は摂取できませんが、喪失とはまた別の話ですね)

ほかには、「にがりは豆腐(たんぱく質)を固める成分が入っていて、臓器も固めるので身体に悪い」という話。
これが本当ならば、昔から豆腐を食べてきた日本人と中国人はすでに絶滅していることでしょう。科学的に明らかに否定されている説です。

しかし、こういった風説はいつの時代でも消えることなく続々と出てきます。
人の不安を煽るような書き方をしているので、まんまと乗ってしまいがちですが、ちょっと待って。それをそのまま信じるのではなく、一呼吸おいて、自分で調べたり、たしかな専門家に聞いた上で判断するようにしましょう。
また、人はひとりひとり体質が違って当たり前。
使い続けていて、体調が良くなったり自分に合ったりしているようであればそのまま続ければ良いですし、なんか具合が悪いなあと思ったら、やめたらいいのです。
あまり難しく考えず、お気に入りの塩を楽しく使うのが一番ではないでしょうか。

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